miffue -それはいつかの2

2010年9月1日 / F U Y U M O I, ukagaka

今までの。 ガチ百合どこいった。どうしてこうなった

「……ねえ平早先生、アナタはなぜここにいるんですか?」

秒針が幾度なっただろうか。ティーポットを持つ深冬が振り向いた。深冬が目にしたのは、まっすぐな表情で深冬を見つめ続けるフィカ。深冬は沈黙の後に笑った。

「ここは、こんなに小さいですけど、もともとは祖父の持っていた病院です。……そうですね、親の後を継がなかったのはとても申し訳なく思っているのですが、私はこの場所を捨てたくなかったのです」

深冬が、フィカの向こう、窓の外を見る。今日の空は薄い銀を帯びた青色で、星型の光の結晶がポワポワと浮き沈みしていた。

世界と世界のはざまに、どこにも所属しない空間がある。この、不思議な空に浮かぶ小さな子庭のような空間も、まさしくそれだった。そして、それを知らない人は、そうした空間に誰かが行ってしまった時に、「神隠しにあった」「魔法を使った」などと言う。

「ここには、普通の病院のようにはあまり人が来ません。いえ、普通の人はほぼ来れないんです。ここへ辿り着けるのは、偶然に迷いついた人や、運よくここに来る術を知った人。そして、ここに来ることを強く望んだ人。そんな人のため……というのはおかしいですね。……そうですね、最初は祖父の死後なくなってしまうこの病院を……患者さんたちとの別れを惜しんでいたのかもしれません。でも今は……、私も、出会った事のない誰かに会いたくてここにいるのかもしれません」

苦い、どこか昔を懐かしむような顔で深冬はほほ笑む。
そんな彼女にフィカは眼光を鋭くする。

「なるほど。それでアナタはここにいるんですか。……疲れません? こんな場所に1人で」
「いえ……特にそう感じた事は。時々でもこの場所を求めて患者さんが来て下さいますし、最近は何だか息抜きというか、遊びに来られる方もいらっしゃるし、充実していますよ」
「楽しいですか?」
「えーと、楽しい、とは少し違いますがこれからはあなたも来て下さる事になりましたし、楽しく時を過ごせるといいなと思います」

「お気楽ですね」
「よく言われます。……でも、どうして」

あなたはそんな事を聞くんですか? 深冬がそう続けようとしたそのときだった。

「……ッ!」

フィカが深冬に掴みかかった。食器の割れる音。身をすくめる深冬にフィカは血走った瞳でわななきながら、深冬を揺さぶった。

「嘘つき!」

深冬のかけていた眼鏡が、固い床に落ちて転げた。

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